子供まんが映画会に行って来た

知り合いがSNSで「子供まんが映画会」の割引券の写真をアップしてて、内容が興味深いので観に行ってきた。

割引券があると600円、無いと900円。

その割引券に書いてあったラインナップは、
・おむすびころりん
・さるかにがっせん
・マッチうりの少女
・ももたろう
・Dr.スランプアラレちゃん
・スーパーマリオ
・パンダコパンダ
(上映順)

上映時間は1時間40分。Wikipediaによると「パンダ・コパンダ」は34分なので、残り6本が1時間ちょいで流れる事になる。午前と午後の上映があり、午後の部を観る事にして、家を出た。

会場は江戸川区総合文化センターだったので、総武線で新小岩駅まで行き、そこから歩いた。

開演20分ほど前に着いたのだがロビーにはまだ十数組の親子がいて、ころあいで入場していた。中には「映画観たくない、暗いの怖い」と泣き叫び入場をかたくなに拒む子供もいた。

子供と来たわけでないわたしはちょっと肩身が狭かったが、まあ満席でもない限り断られないだろうと思って入場した。入口には折り畳み式の長テーブルが置かれていて、その上にはチケットや他の親子から受け取った割引券やおつりがあった。テーブルの向こうには中年の女性が座っていて、いわゆる「もぎり」の係をしていた。

「いらっしゃいませ、割引券お持ちですか?」
「いや、持っていません」
「ないと900円になりますが……」
「あ、構いませんよ」

私がそう言うと女性はこの上映会を仕切っているらしき男性スタッフを呼び止め、

「割引券は無いみたいなんだけど、どうしますか?」と尋ねた。

その男性は一人で来た私をみて少々ポカンとした表情を浮かべながら、
「うーん……いいや、持ってたって事でいいよ、600円」と答えた。

入場すると既にホールの緞帳は上がっていて、スクリーンが設置されていた。そのスクリーン手前に小さなスピーカーが2つ。映写機は昔ながらの16mmフィルム投影方式で、2台設置されていた。

上映会は定刻にスタートした。場内が暗転し、1本目の「おむすびころりん」が始まっても子供たちは騒々しかった。子供とはそういうものだし、当たり前だがこの上映会でそれを「うるさい」と叱るものはいなかった。

映し出された映像についたフィルム傷や、ボワボワの音声やフィルム終わりのブツリと響くノイズや、映写機のカタカタという音などが懐かしかった。映写機がプロジェクターとなり、フィルムがDVDやBlu-rayとなった環境で上映される事がほとんどの昨今ではなかなかお目にかかれない光景だ。

昔話4本はどれも10分程度の作品で、止め絵にアテレコ程度かなと思っていたのだが、思ったよりも丁寧に書かれていて、それが結構動いていて感心した。4本中で死んだのはさるかにがっせんの母ガニとマッチ売りの少女だけだった。おむすびころりんの悪いおじいさんはモグラになり、猿と鬼は反省していた。大人になった今、各話を改めてみてみると、「マッチ売りの少女」だけ違和感を感じた。

「マッチを売らないと家に帰れない少女は寒いのでマッチを擦って暖を取ったが死んだ。幸せそうな表情をして……」

という話から何を教訓にしろというのか、辛かったら商売道具に手をつけてでも一時しのぎしそして死ね、という話なのか、と悶々とした。そんな事を考えながらも上映は進む。

Dr.スランプアラレちゃんとスーパーマリオはいわゆる安全教育アニメというやつで、子供に人気のキャラクターの威光を借りて、交通ルール遵守や火の元注意などを啓蒙するために作られた作品である。

アラレちゃんは横断歩道を渡る際には気をつけよう、道路にいきなり飛び出すのは止めようといった話で、空豆タロウは教育上の配慮からかトレードマークのサングラスをつけずに登場していた。本編では学校の先生として登場する山吹ミドリ先生がこの話ではアラレたちに交通ルールを教える婦警さんという役どころで出ており、則巻千兵衛が一目ぼれしていいところを見せようとする、という小噺も挟まれていた。

主題歌が流れた瞬間、親たちからは「懐かしい~」の声が漏れたが、おそらく「ドラゴンボール」しか知らないであろう子供たちからの反応は特になかった。クライマックスにアラレが自動車を持ち上げたのを、自分の前に座っていた子供が、
「どうしてこの女の子はこんなに力が強いの?」と親に尋ねていたのに、ブームから30年以上の月日が経っていることを改めて実感させた。

逆にスーパーマリオはタイトルロゴが出てすぐに客席から、
「あっスーパーマリオだ!」という声がチラホラ。流石にこちらの反応は凄ぶる良い。劇中に出てくるゲームが「3」なことから、おそらく80年代終盤に作られたものだろう。

マリオとルイージが消防士として登場するのだが、ストーリー中の登場場面はは親の目を盗んで空き地でロケット花火をしていた姉弟が火の不始末でボヤを出したところを二人が助けるのと、その晩地震をきっかけに姉弟が住んでいるマンションの向井から出火、マリオとルイージが部屋に残った赤ちゃんとお母さんを救出する2カ所で、話はそれで終わる。のだが。

火災現場に素面で入るのも消防隊としては間違っているので、二人は防火服を完全装備して救出に向かうのだ。その結果が下記の画像である。

マリオとルイージが大活躍! と言われても、素直にうなずけない……。

最後の作品「パンダコパンダ」は、作られてから40年以上経っているとはとても思えないほど子供たちへのウケが良く、今までと違って場内には時折爆笑が起きた(それまでの作品では「わはは」程度の笑いが精いっぱいだった)。

上映が終わると早々に「本日の上映は以上です、ありがとうございました」というアナウンスが流れたので、わたしは会場を後にした。

DVDやケーブルテレビの専門チャンネル、またインターネットを利用したストリーミング配信サービスなどの普及により、こういった貧弱な音響とフィルム上映では満足できない人もいるかもしれない。しかし一度育児を経験したわたしにとって、子供が騒いだり泣いたりしても咎められることのない上映会は、とかく親に子供へのマナーを必要以上に守らせようとする世知辛い今の世の中でお互いが許しあい楽しめる空間として、上映方法がカタカタと音のする映写機から音はしないが風情も無いプロジェクターに移り変わったとしても、いつまでも残っていてほしいイベントのひとつだと思った。

3〜4歳児程度のお子さんをお持ちの親御さんにお薦め。シネコンデビューする前に、こういった公民館や体育館での上映会に連れて行って、子供がどんな風に反応するかテストしてみるのもいいかも。

小学校以上だったり妖怪ウォッチやドラえもんなどに興味が出てきた子供だと辛いかなぁ、というイベントでした。あとくれぐれも、内容に期待し過ぎてはいけません。

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください